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性的な成長が遅く、ホルモンを必要としているティーンエイジの男女50人を集め、女の子にはエストロゲン、男の子にはテストステロンを3ヶ月間注射して、その後3ヶ月間は偽薬を投与した。
ただし実験者も被験者も、誰が何を投与されているのか知らない。
これは科学的な調査ではいちばん信頼が置ける、無作為化二重盲検試験と呼ばれる方法だ。
実験期間中には、被験者の生活の様子について、本人と両親に聴きとり調査を行なう。
足を強く踏みならしたことが何回あったか?倣慢な目つきをしたことは?こうして慎重にデータを集めた結果、Sはホルモンが作用しはじめる瞬間をとらえることに成功した。
ホルモン投与期間に男の子も女の子も攻撃的になったのだ。
それは投与したホルモン量が、体内に本来あるべきレベルに達している。
もちろんこうしたことは、思春期の子をもつ親にとって初耳でも何でもない。
いろんな点で、攻撃性は思春期の特徴であり、思春期イコール攻撃性と言ってもいいくらいだ。
ドアを乱暴に閉める、本を投げつける、罵声を浴びせる。
どれも珍しいことではない。
娘が3人いるB・Wに、娘が思春期に入ったことをどうやって知ったかときいたら、彼はあきれ顔で私を見た。
「そんなの決まってるじゃないか。
僕の顔をにらみつけて、死にやがれ、と言いはなったときだ」14歳の男の子をもつ友人は、私を自宅に連れていき、息子が壁を蹴りつけて開けた穴を見せてくれた。
そのとき何に腹を立てていたかというと…そんなことは関係ないのだ。
「ホルモン地獄よ」樵惇しきった彼女は首を振った。
このときも息子は部屋に閉じこもり、口もきかなかった。
しかしホルモンはひとり芝居をしているわけではない。
精巧なフィードバック・ループのなかで、ホルモンは行動を作りだし、その行動がまたホルモンを分泌させる。
ビーカーのなかのショウジョウバエより複雑な生活を送るティーンエイジャーにとって、毎日の生活を構成しているごちゃごちゃした人間関係もまた、ホルモンに影響を与えているのだろう。
「思春期の子には、毎日たくさんのことが起こっているの。
なかには本人の気に入らないこともあるわ。
にきびができるし、身体に脂肪がついてくるし、人間関係も変わってくる。
友達より背が低いのも悩みの種よれ。
そんなもろもろのことが、直接的ではなく、間接的にホルモンと関係しているの」とSは言った。
だいたいホルモンそれ自体が、混乱を招きやすい物質だ。
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